導入事例インタビュー『東京都瑞江葬儀所 様』

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2026/09/17

2026年6月からリニューアル施設の供用を開始した東京都立の「東京都瑞江葬儀所」に、セイコータイムクリエーションの運営支援システムが導入されています。デジタルサイネージを起点として、お見送りのWeb予約からデータ連携、施設運用、ご遺族の案内までを一元的に統合するDXソリューションです。
華やかな演出が注目されがちなデジタルサイネージの世界において、火葬場という現場の業務課題に正面から向き合った取り組みが高く評価され、一般社団法人デジタルサイネージコンソーシアムが主催する「デジタルサイネージアワード2026」を受賞しています。
今回は同施設を指定管理者として運営し、受付から火葬業務までを全面的に統括する、公益財団法人東京都公園協会 管理係長の伊藤進さまにお話をうかがいました。
導入効果:年間約2,490時間の業務削減を見込む(Web予約、データの一元管理、帳票出力、館内放送など、施設運営全体の連携・自動化による効果)

導入事例インタビュー『東京都瑞江葬儀所 様』

―はじめに、デジタルサイネージ導入の経緯と、伊藤さまのお仕事についてお聞かせください

旧施設の老朽化対策として建物全体の建て替えが決まり、リニューアルに伴って業務システムの導入を検討することになりました。私は旧施設の頃から指定管理者の管理係長という立場で火葬業務全般の統括をしていたため、システム化にあたっての業務ヒアリングを受けるかたちで導入に携わりました。
当施設は令和4年に着工し、令和8年の6月から供用を開始しています。現在は供用開始から1カ月が経って、新しい業務オペレーションが回り始めているところです。

―デジタルサイネージシステムの導入前は、どのような課題があったのでしょうか

旧施設ではあらゆる作業がアナログで、口頭や手書き伝票での情報共有が基本になっていました。火葬の予約は電話で受け付け、紙の台帳にスケジュールや申し送りを書き込んで、法的な書類も手書きで処理していたのです。私が着任してから一部の伝票はパソコンから出力できるようにしたのですが、それでも「紙を見ながら入力する」や「データをコピー&ペーストする」といった手作業は残っていました。そのような管理手法なので、どうしても「何度も同じ情報を転記する」作業が発生します。時間もかかるし、ミスも出やすくなる。手作業の管理は非常に気を遣う、負荷の高い仕事になっていました。
また、リニューアルに伴って火葬炉の稼働数を増やすことも決まっていました。勤務時間も人員も変わらない中で、より確実に、スムーズに業務を進める必要が出ていたのです。受付、事務処理、火葬の管理、清掃、ご遺族のアテンドなどさまざまな業務がある中で、人間がすべき仕事と自動化できる仕事を切り分け、自動化できる仕事はできる限りシステムに組み込んでいきました。

―システムの構成とデジタルサイネージの使い方についてお聞かせください

まず、予約申し込みを電話からWeb受付に切り替えました。葬儀社様には予約ページで情報をご入力いただきます。まずは葬儀社名、火葬種別、お立ち会いの人数、故人のお名前程度の、最低限の入力で火葬の日時を確定し、住所や宗派、お別れの方法、その他のお申し送りといった細かい情報は、後からでも追記いただけるようにしています。それらをデータベースに登録してマスタデータとし、一元管理しています。
デジタルサイネージは大きく分けて7種類・43台あり、それぞれの用途に合わせてマスタデータの中から必要な情報を参照して表示しています。

1階エントランスと2階待合所の大型サイネージには、当日の火葬の時刻と収骨室の番号、故人のお名前、ご遺族のお名前、葬儀社名などが表示されます。

エントランスの大型サイネージ。当日の火葬の予定が時間ごとに表示される
エントランスの大型サイネージ。当日の火葬の予定が時間ごとに表示される

1階の告別収骨室は10室あり、告別収骨室の入り口と、火葬炉につながる奥の扉に縦型のサイネージがあります。ここには故人やご遺族の方の苗字などを表示します。

  • 紙の掲示に近い落ち着いた表示。故人の名前を表示する場合も、苗字のみを表示する場合もある
    紙の掲示に近い落ち着いた表示。故人の名前を表示する場合も、苗字のみを表示する場合もある
  • 一つの火葬炉に一つの収骨室という「一炉一室」でプライベート空間を守る、国内唯一の構造を採用している
    一つの火葬炉に一つの収骨室という「一炉一室」でプライベート空間を守る、国内唯一の構造を採用している

奥のサイネージはタッチパネル式になっており、火葬炉の稼働システムと完全に連動しています。故人のお棺を火葬炉まで運び、防火シャッターを閉めて、火葬を始めるまでの一連の動作をタッチパネルのスイッチで操作できます。

火葬の最中、ご遺族には2階の待合所で待機いただきます。2階には葬儀社様の待機室もあり、そこにだけ、炉と連携した情報が表示されるサイネージがあります。

火葬や冷却の進行状況は、遺族からは見えない葬儀社専用の控室でだけ表示される
火葬や冷却の進行状況は、遺族からは見えない葬儀社専用の控室でだけ表示される
  • 葬儀社の方は収骨開始までの待機時間を把握できる
    葬儀社の方は収骨開始までの待機時間を把握できる

火葬と炉の冷却が終わり、収骨を始める準備が整うと、生成音声で館内放送が流れます。これまでは手の空いている斎場スタッフが直接声かけをしていましたが、システム連携によってスムーズな自動誘導ができるようになりました。

故人やご遺族の意向に沿った細やかな対応とともに、死亡や火葬に関する法的な届け出も処理する必要があります。それらを作成する機能を組んでいただき、1つのマスタデータから23種類の帳票をワンタッチで出力できるようにしました。

  • 帳票出力システム。手動のコピー作業をゼロにして、業務時間の削減とヒューマンエラーの予防を実現した
    帳票出力システム。手動のコピー作業をゼロにして、業務時間の削減とヒューマンエラーの予防を実現した

フロントエンドではWeb受付とサイネージでの表示、バックエンドでは火葬炉との完全連携。それら二つを、データベースと運営支援システムがつないでいます。

―かなり思い切った自動化ですが、システム選定はどのように進められたのでしょうか

火葬場向けのシステムを提供する企業は複数あります。しかし今回どうしても必要だった「運営支援システムと火葬炉との連携」が可能なのは、セイコータイムクリエーションさんだけでした。Web受付システムや表示システムだけではなく、施設と一体になって管理・操作ができる仕組みを構築できる点が決め手になりました。
開発期間が短く、最初の打合せからシステムの完成まで2カ月ほどしかなかったので、仕様決めから実開発まではとても忙しかったですね。仕様決めやデータベースの設計、23種類の帳票のひな型を作る作業などもありました。他県の斎場への視察も行きましたが、一炉一室は国内初の構造で前例がなかったため、独自で考えることはたくさんありました。

―導入の成果をお聞かせください

ヒアリングをもとにした算出では、年間およそ2,490時間の業務時間削減が見込まれます。各業務を一つひとつ洗い出して計算した確度の高い数値で、東京都デジタルサービス局の行政手続きデジタル化に関わるBPR検討支援事業にて報告を受けています。
数値以外の効果には、業務負荷の軽減があります。データの一元管理・施設連携・自動化によってヒューマンエラーが起きる余地がなくなりました。これまで、特に気を遣う作業に「常用外漢字の利用」がありました。旅立ちの際のお名前間違いは絶対にできません。今回、システムで“渡邉”や“渡邊”などの常用外漢字に対応いただいたことで、データベースから直接参照する「間違いようのない仕組み」が構築できました。
また、紙台帳の時代は困難だった「臨機応変な控室の変更」……たとえば、何らかの理由で火葬が長引いた際に、次にお待ちの会葬者を別の控室にご案内する……といった調整もできるようになりました。

―今後の展望をお聞かせください

AIを活用した入力作業の自動化や、葬儀・火葬手続全般の最適化も考えてみたいですね。
日本では、今後、火葬件数がピークを迎えると言われています。おそらくその頃、1日あたりの火葬件数は今よりも増えているでしょう。一方で、この業務に就ける人が今より増えることは、そうそうないと思います。
そのような状況において、人の手の介在を減らし、スムーズなお見送りをお手伝いする仕組みは不可欠なものになっていくでしょう。瑞江斎場は今回のシステム導入により、将来を見据えた基盤づくりができたと考えています。

_________今回は、お忙しいところ貴重なお話をありがとうございました

お客様プロフィール

名称

東京都瑞江葬儀所
指定管理者:公益財団法人東京都公園協会

所在地

〒132-0003
東京都江戸川区春江町3-26-1
(東京都瑞江葬儀所)

指定管理者:
〒160-0021
東京都新宿区歌舞伎町2-44-1
東京都健康プラザ「ハイジア」9・10階
(公益財団法人東京都公園協会)

事業内容

公園・庭園・霊園・葬儀所などの管理運営、
みどりの普及啓発

URL

公益財団法人東京都公園協会▶https://www.tokyo-park.or.jp/
東京都瑞江葬儀所▶https://www.tokyo-park.or.jp/reien/mizue/index.html